平成12年度に北海道内の山岳地で「携帯トイレ」使用をするとの話題が2カ所で上がった。利尻山と大雪山(黒岳及び旭岳の一部)での使用であった。
この内、利尻山では地元自治体「利尻富士町」(鴛泊コース)「利尻町」(沓形コース)の両町が一緒になって「携帯トイレ」無料配布を行うこととし、全登山者を対象に1万6千個を用意したと聞いている。
今般、「山のトイレを考える会」より「利尻富士町」「利尻町」担当窓口の方に、この「携帯トイレ」使用について以下の質問事項をお送りしたところ、「利尻富士町」より回答を頂いた。その内容を紹介したい。
1. 質問事項
「携帯トイレ」使用に踏み切られた「目的」、「対象者」「何の為に使用してもらう」「どのような効果を期待(予定)」「期待した効果に対して今年度の結果」等について御教示お願いします。
2. 利尻富士町担当窓口:利尻富士町観光協会 商工観光課長 桜庭 均 様より回答
(1) 目的
鴛泊コースの長官山(8合目)及び上部の避難小屋周辺に排泄物の悪臭、ティッシュペーパーの散乱などの苦情が一部登山者から寄せられたので、同地点トイレ建設迄の過渡的対策として、当分の間、携帯トイレの無料配布により対処していく。
(2) 対象者
全ての登山者とする。
・ 旅館、キャンプ場、避難小屋に前泊する者
・ 当日上陸して日帰りする者(地元住民を含む)
(3)使用目的
水質保全及び自然の汚染防止…植生被害なし
(4) 期待事項
登山が観光資源となっているので、登山者の増加を図る。
※ 登山ツアーとして旅行会社で商品化されている。
(5) 効果
6~7%利用だったが、登山ガイド等により以前に比べて大変きれいになっているとの情報があり、効果があったものと思っている。
(6) 課題
コース中で携帯トイレの使用場所は地形上、長官山や避難小屋周辺に限定されているが、より利用頻度を高めるには、この地点に専用テント(便座付き)が必要と思われる。
3.その他関連事項
(1) 避難小屋利用者だけでなく、登山所要時間からして日帰り登山者は勿論、性別、大小便にかかわらず利用を想定した。
(2) 回収は、3合目コース上(野営場)に、未使用分と合わせてボックスを設置し、管理人がゴミ収集車ボックスに移動する。
(3)使用済み(携帯トイレ)は、ゴミ収集車がダイオキシン対応の焼却施設に運搬し、一般廃棄物の可燃物として焼却処理している。
(4) 登山者数等の把握は、野営場(3合目)の管理人の調査及び登山届による。
《以上 ヒアリング、作成、文責;山のトイレを考える会・会員 H12.12.5 小枝 正人》
「補足事項」
第1回山のトイレを考えるフォーラム(H12.8)で利尻山の携帯トイレ使用について利尻町立博物館の佐藤様より説明があった。(当日の議事録は山のトイレ考のホームページにて公開)その際に、今後の課題としてあげられた項目が3点あったので、それについても参考に記載する。
(1)携帯トイレの無料配布が資金的(補助金も関係)に、今後とも継続できるかどうか。
(2)本当に無料配布がいいのかという点。自分が出した物は自分で処理するとの観点で、いくらかで も利用者が費用を負担するとしても良いのではないか。
(3)オーバーユースの問題を解決しなくてはならないこと。
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