新冠ポロシリ山荘トイレの汲み取りに参加して


                    (山のトイレを考える会 仲俣記 2023.8.2)

 新冠ポロシリ山岳会では、イドンナップ山荘と新冠ポロシリ山荘の維持管理、幌尻岳の登山道整備をしている。山のトイレを考える会の2名は7月28日にイドンナップ山荘に泊まり、29日に新冠ポロシリ山荘トイレの汲み取り作業に参加してきた。

 林道は曲りくねりダートが嫌になるほど長い。国道235号線から約60kmのイドンナップ山荘までは町のバキュームカーが来てくれるが、さらにその19km奥にあるポロシリ山荘までは来てくれない。そのため山岳会がトラックに積める可搬型のバキュームを購入して、年3回ほど汲み取りを実施している。

 トイレはプレハブトイレ(小便器1個、和式1個)と仮設トイレ(和式)が1基ある。どれも簡易水洗で臭いが全くない。便器もキレイ。トイレットペーパーも備え付けてある。またソーラー発電の人感センサー付きライトがトイレ内外で点灯する。山荘内も清掃がゆき届き、水も沢水を引いていて常に流れ出ていた。

 登山者にいかに快適で安全な登山をしてもらうか、山岳会は常に工夫し努力している姿が見てとれ、驚くことがいっぱいあった。

山荘とトイレ棟、そして生理用品等の汚物集積箱可搬型バキュームをトイレの横につける

プレハブトイレの前室
プレハブトイレの小便器

プレハブトイレの和式便器
黒の円いボタンを足で踏むと洗浄水が流れる
仮設トイレにも黒の円い足踏みポンプがある

汚物集積箱とアブ捕獲器トイレの汚物袋を一時的にストック。
一般ゴミはヒグマを寄せ付けるので必ず持ち帰る

 簡易水洗の水は沢から汲んで人力でタンクに注入する。登山者はトイレ後に目の前のペダル踏むと洗浄水が出る。便槽内では固形物は下に汚水は上に分離されるので、汚水をホースで外のタンクに貯留する。現地に行った時は3つの便槽はし尿で満杯だった。困るのは生理用品があると汲み取り時に詰まる原因になると言っていた。トイレットパーパー以外の生理用品等はトイレ前室の汚物回収箱に捨てること。満杯になったら外の汚物集積箱に入れるよう掲示してあった。

可搬型バキュームを始動させるバキュームにホースを取り付ける

3つの便槽の汚水をホースで貯留タンクに入れるバキュームで汲み取る準備完了

貯留タンクの汲み取り仮設トイレの汲み取り

プレハブトイレの汲み取り水源の清掃

水源からホースで山荘まで引いている山荘の水は絶えず流れ出ている

 山岳会の皆さんは手慣れたもので1時間もかからず可搬型バキュームカーにし尿を汲み取った。また特殊なバイオ菌(イグアスEX)を投入しており、し尿の減量化と臭いの防止に効果を発揮しているとのことだった。

新冠ポロシリ山岳会の皆さんと写す集合写真(その2)

 イドンナップ山荘のトイレ

イドンナップ山荘。広い駐車スペースがあるトイレは小便器2個と洋式便器2穴ある

便器は清掃されていた
トイレットペーパーと清掃用具