調査日:2021年8月21日(土)~24日(火) 報告:山のトイレを考える会 仲俣善雄
東北の岩手県は1999年~2009年まで避難小屋11箇所にTSS土壌処理装置を導入しました。北海道では2013年に羊蹄山避難小屋に導入され順調に運用されています。自然条件が厳しい山岳地への環境配慮型トイレは全国でいろいろな形式のトイレが導入されていますが、完璧なものはありません。その中でも土壌処理トイレは、土地面積があれば電気も必要なく、メンテナンスも楽で有力な候補と思っています。 現在大雪山国立公園の避難小屋トイレは35年~40年経った和式の汲み取り式トイレです。水分は地中に浸透し、固形物が貯留される半浸透式トイレです。環境には決してよいトイレではありません。将来、避難小屋トイレを設備更新する時に土壌処理トイレは有力な選択肢の一つと前から思っていました。 今回、岩手県で長年使用しているTSS土壌処理は実際どうなのか?本当にちゃんと運用されているのか、問題はないのか?実際に見てみたいと、山仲間の横谷博氏と岩手県の「八幡平」「岩手山」に登り6箇所見てきました。また青森県の「八甲田山」で避難小屋の汲み取りトイレ2箇所も見て来ました。 |
1.岩手山八合目避難小屋(別棟トイレ)
岩手山の八合目(1760m)には避難小屋と別棟トイレが繋がっています。避難小屋の中にもトイレがあります。どちらも一つのTSS土壌処理装置を共用して使っています。 |
2.岩手山八合目避難小屋(屋内トイレ) 避難小屋には夏期のみ管理人さんが常駐します。屋内トイレは冬期間のみ使用。男小2、男女共用トイレ2室(洋式と和式1室づつ)で非水洗です。使用済トイレペの回収箱があります。見せてもらった時は少し臭いがありました。整備年度は2001年です。 |
3.岩手山不動平(九合目)避難小屋トイレ 八合目避難小屋から約20分で九合目避難小屋(1830m)に到着。2005年度に整備。八合目避難小屋の管理人が管理している。小屋内はきれいでゴミ一つない。男女共用の洋式トイレ2室。八合目トイレと同じように使用済トイレペの回収箱が置いてあります。非水洗。臭いなし。協力金箱がありました。 |
4.平笠不動(屏風岳)避難小屋トイレ 岩手山の山頂直下から小屋(1770m)に行くために下り30分、登り40分を往復する。2009年整備ですが、大規模修繕中でした。快く中を見せてくれました。トイレは小便器1、和式トイレ1でしたが、今回洋式便器に取り替えます。また、共用トイレに行くのに小便器の前を通過しなければならず、不便なので解消するとのことでした。今まで清掃用の水が無かったので、雨水を貯めるタンクを新設。今回見たトイレで一番臭いがありました。 |
5.八幡平・陵雲荘避難小屋トイレ 八幡平の山頂から20分下った所に避難小屋「陵雲荘」(1576m)があります。整備年度は2003年。男小2、男女共用トイレ(洋式)2室。非水洗です。小屋内もトイレもきれいでしたが、少し臭いを感じました。使用済トイレペの回収箱は無く便槽に捨てます。 |
6.八幡平・茶臼岳避難小屋トイレ 陵雲荘から約2時間で茶臼岳避難小屋(1500m)に着く。2004年整備。男女共用の洋式トイレ2室。非水洗。小屋内もトイレも綺麗で清潔、臭いも無かった。雨水を貯めたタンクがあり、清掃用の水を入れたペットボトルがあった。 |