山とトイレ

~黒岳・銀泉台・高原温泉における取り組み~(その2)



2.大雪山国立公園におけるし尿処理問題

 私は平成11年の4月に赴任してから、この森林保全活動に携わるようになりました。1年が経過して最も気になったのが、大雪山の山岳トイレの汚さでした。黒岳の石室のトイレは昭和45年に建てられたもので、地下浸透式でウジが大量に発生し便器にかがむと目も開けていられないほどの強烈なアンモニア臭がしました。そのため、登山者はトイレで用を足すよりは外で済ませた方がましと思ってか、トイレ周辺のハイマツやウラジロナナカマドの下でトイレを済ませ、使用したトイレットペーパーのかすが捨てられているのを見かけました。
 また、銀泉台の登山口のログハウス風のトイレは、平成3年に建てられ比較的新しいのですが、くみ取り式のトイレでやはり大量のハエが発生していました。
 平成11年の夏には、環境庁、上川支庁、上川町、林野庁のメンバーが集まり、黒岳のトイレの視察を行いました。各行政機関とも黒岳のトイレが汚いことを認識し、どうにかしなければならないことは十分わかっていると思います。しかし、すぐさま動くことはなかなか難しいようでした。
 ところが、こうしている間にも大量の登山者が黒岳を訪れ、トイレを使い、ウジが発生し強烈なアンモニア臭を放っているのです。私は現状を見て、応急処置的にお金をかけず、すぐさま実行できる山岳トイレの改善を行おうと思いました。


黒岳石室トイレ
黒岳石室のトイレの女子側

黒岳石室のトイレの下に捨ててあるテッシュ
黒岳石室トイレの見学会

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