山とトイレ

~黒岳・銀泉台・高原温泉における取り組み~(その4)



5.トイレットペーパーの分別について

 黒岳の石室のトイレは林野庁が上川観光協会に貸し付けているので、普段の掃除は石室のアルバイトの青年達が行っています。石室のアルバイトはボッカ(荷上げ)の仕事など大変な面が多く、アルバイトの若者は大抵1年で辞めて行きます。従ってトイレを責任を持って継続的に管理している人がいません。そのことは、黒岳のトイレが汚いまま放置されている原因の1つと考えられます。
 この夏アルバイトに来ていた3人が、トイレに茶の実粉末を撒き、SK菌を散布し、使用済みのトイレットペーパーを荷下げしてくれました。黒岳のトイレは1日で多い日は300人以上のトイレ使用者がいます。トイレットペーパーは1日で45リットルのゴミ袋1袋の量がありました。ペーパーの荷下げはゴミ袋を段ボールの中に入れ外から目立たないようにして、(株)りんゆう観光の御協力を得て層雲峡ロープウェーを使わせてもらい荷下げしました。運ぶ際に、匂いが漏れることはありませんでした。
 取り組みの中で、黒岳の観光協会のパトロール員から、黒岳のハエは大便を食べていて、今まで、大勢の登山者が7月の花のシーズンの時期に来て大量の糞尿が溜まったときも、ハエが大便を食べて瞬く間に便層の中の糞尿の量が減ったという話を聞きました。帯広畜産大学のハエの研究をなさっている岩佐先生に問い合わせたところ、黒岳にいるハエは黒ハエといってイエバエと違い衛生面でも問題がなく、バクテリアの30倍から100倍の早さで大便を分解すると教えて下さいました。それまでは、ハエの撲滅を誓って取り組んできましたが、以降はハエが多少出ても気にしなくなりました。


黒岳石室トイレの内部
分別を呼びかける張り紙と分別ボックス


多い日の1日分のトイレットペーパー
荷下げする時の状態


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