はじめに
名古屋にある「ふわく山の会」では、25周年記念行事として「携帯トイレ持帰り運動」を実施しました。きっかけは会員が利尻山山行(03年7月)での携帯トイレ使用推進に触発され、会員の提案で地元の藤原岳(1140m)ほか一箇所で実施されることになったものです。
ふわく山の会について
中高年登山者の健康、生き甲斐をと ウォーキングからアルパインまで幅広い活動をしている名古屋にある40歳以上の山の会です。会員数 748名(2005年2月2日現在)
会員のボランティアにより全ての運営がなされています
ホームページ「ふわく山の会」http://www.h7.dion.ne.jp/~fuwaku/
ふわく山の会・藤原岳自然保護パトーロール隊
藤原岳について
| 三重県にある藤原岳は、標高1140mで登山道も整備され登りやすく、花の山で有名です。福寿草などいろいろな花が咲き、登山者を楽しませてくれます。山頂近くに無人でトイレのある避難小屋「藤原山荘」があります。往復5~6時間 | |
「携帯トイレ持帰り運動」結果報告(次ページ参照) ふわく山の会平日山行部
携帯トイレ持帰り運動を振り返って
"綺麗に澄んだ、谷川の水もむやみに飲んではいけない" こんな形で環境汚染が進んでいる事を知らされ、会の大切な山行山域の一つである藤原岳の頂上小屋のトイレの清掃に地元の山岳会が大変なご苦労をしておられる事を知り、何か環境保全にお役に立つことは無いかと藤原岳自然保護パトロールが始まりました。
そんな中で利尻岳に登った会員が利尻山の環境と山麓の町の飲料水の水源の汚染が密接につながっている事から、地元の宿泊施設が"携帯トイレの利用の推進"に取り組んでいる事を知り、自然を愛するものとして、自然へのダメージを和らげる為に会として"携帯トイレの利用の推進"を取り上げるべきではとの提案が有りました。
2003年は会の25周年にあたり、色々な記念行事が企画されていましたが、その一つとして"携帯トイレの利用の推進"を取り上げようと平日山行部、自然保護部が取り組みを始めました。使い慣れない事から少し抵抗もありましたが、藤原岳、海上の森などの山行でテストを続けました。多くの意見、感想が寄せられました。
この運動が定着した活動になるか未だ緒についたばかりです。山を、自然を愛する多くの方が "山行には携帯トイレ"となる日が近いことを期待しています。
(実施山行)
藤原岳自然保護パトロール時に実施(2004年2月~5月、6月県連主催清掃山行時)
実施日数:21回、参加者:延べ217人、予算:10万円
・1月中旬 (株)総合サービスより サニタクリーン便袋200個、高密度チャック袋200個購入
・2月初旬 (株)ケンユウより プルプル200個購入
・5月下旬 (株)総合サービスより 高密度チャック袋200個追加購入
(参加者の声)
2月 一面の雪野原の中で使用場所に苦労する(女)
サニタクリーンの使用に四苦八苦する(男)
初体験ながら暗いトイレを使うより青空の下での携帯トイレは快適
3月 強風時はサニタが地面に落ち着かないので困った(男女)
福寿草見物の登山者が多く、人目が気になり使いづらい(女)
男性の小便はサニタクリーンよりプルプルが使い勝手もよく好評
4月 女性にもプルプル(じょうご型)をすすめたところ、かさばらず使いやすいと好評だった。
全期間を通じての反対意見
・使用済み携帯トイレをザックにいれて持ち帰ることへの抵抗感(男女)
・大便には携帯トイレを使用するが、小便は面倒だ(男)
・携帯トイレを使用しなくてもよい山に行く(男)
(普及のために)
・登山者の意識改革
"出したものはすべてゴミ"という意識 "後世に美しい自然を残そう"という意識
・専用ブースと回収BOXの設置
8合目や山頂に携帯トイレの専用ブースを設ける。
下山口に使用済み携帯トイレの回収BOXを設ける。
・携帯トイレの安価調達
例えばプルプルの場合、県連で大量購入すれば@100円が@70円で入手できる。
(携帯トイレ持帰運動余談)
・殆どの会員が携帯トイレなる物を見ることも使うことも初めてなので山行の都度、トイレ
委員が説明に付き添った。
・最初は男女ともに戸惑った人が多かったが、一度経験すると思ったより簡単という声が
あがった。
・楽しく取り組もうということで、男女が肩を組んで"くさい仲"といいながらカメラにおさまっ
たりした。
・テント泊で使用済みの携帯袋を計5袋(1キロ)もザックの外にぶら下げて持ち帰り、その
まま反省会に臨んだ猛者もいた。
・プルプルを使用したあと、凝固剤と尿を混ぜるときのなんともなまあたたかい感触を、
"あぁ生きている証しだ"なぞと叫ぶ人もいた。
・サニタクリーンやプルプルが一度固まったあとへ何回使用可能か?家に持ち帰った袋で
実験した人が意外に多かった。両方とも2回は大丈夫だった。
(以上)
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