フォーラム議事録(要旨)
★★参加者の発言内容の詳細はここをクリック(pdfファイル 10ページ 59KB)してください★★
(以下、それぞれの発言者の発言内容の概要)
1.司会者挨拶 上井博志
来場のお礼、活動をはじめた当初よりも思っていたよりも実際に活動を始めてみるといろいろ複雑な問題がわかった。参加者の活発な意見交換を期待します。
2.代表挨拶 横須賀邦子
これまでのフォーラムをふまえて、今回は維持管理をする地元の人たちがどのようなお考えでいらっしゃるのかを聞きたいと企画した。
私ども登山者が一般的にトイレを必要とする地域でも、それを受ける地域住民や地域山岳会には、受ける以上の苦労がつきまとう。その経済的なバックボーンなど、これから話し合い、パートナーシップをもって活動していきたい。
3.2003年度活動報告 仲俣善雄、愛甲哲也
2003年度の活動報告が行われました。(ここからは省略します。フォーラム資料および当会のニュースレターやホームページ等を参照ください。)
4.各地のトイレ問題報告 コーディネーター 山下由美
(ア) 羊蹄山避難小屋 北海道後志支庁 小室一也 氏
今回、建設以来初めての屎尿処理を行った。避難小屋は昭和47年、面積は77・6㎡で、トイレのブースも6㎡強。標高は1,670m。最近5年間の羊蹄山登山の入山者数は1万人前後で推移しており、避難小屋の利用者は1割程度、今年度は1,231人の利用であった。
モルタル用のポンプを使い、バキュームし、ヘリコプターで搬出した。費用は約800万円。1番のごみは生理用品、2番目がティッシュのビニール。結果的に11袋とバケツが3つくらい。今後、登山口の野営場において、登山者の利用も十分考慮したトイレや便層の再整備をしていきたい。看板の整備、登山者の意見をくみ取る体制作りなどが今後課題。
(イ)空沼岳万計山荘 空沼岳万計山荘友の会 小笠原 実孝
一般市民や山岳会、野鳥の会とか有志が集まり「万計山荘友の会」を作り、営林署と委託契約をし、管理はすべて募金でまかなっている。
トイレは4基、ゴミをかきだし、トイレの窓を開け放し風通しを良くするなど改善をはかった。悪臭対策にEM菌を使っている。ペーパーはくみ取りの3割か4割をしめるので、「持ち帰ってください」と張り紙し、その横にゴミ箱を置いておいている。雨水がトイレの中に入って、洗浄した水が沼に流れる、そういう状態が30年続いており、3年前に150万円かけて便層を入れた。
札幌市民が多く使っているが、市役所はくみ取り費用を免除してくれない。冬季もまわりで用を足されないように除雪をしてトイレが暗くならないようにしている。
(ウ) 大雪山白雲岳避難小屋 管理人 片山徹 氏
トイレは、外に大小兼用の便器が2つあり、朝の混み合うときに我慢できない人が草地や水場、源流部で用を足すのが困っている。また、テント場からトイレの間が夜みにくいため、踏み荒らされ、ロープをはった。平成12年にヘリコプターを使ったくみ取り作業をやり、さらにEM菌を使って糞尿を減らす活動をはじめたところ、屎尿の水位が下がった。便層の中へのごみの投げ入れが多く、ペットボトルや衣類――臭くなった服や衣類など。
一人一人が協力して紙だけでも持ち帰ってもらえることで、個人が意識することによって、山のトイレ問題も少しずつ変わっていくと考えている。
(エ)大雪山登山口バイオトイレ 北海道自然環境課 荒井 修二 氏
トムラウシの短縮登山口はソーラー発電、複合型ソーラーシステムで、通常は1日100回分の処理ができる。シーズン中、おがくずの交換はなし。約ドラム缶7本分の屎尿の処理を2年間でやったと推計された。
沼の原の登山口はペダル式で、おがくずと屎尿を撹拌するためにペダルを踏み、臭気抜きのぺンチレーターは風によって自然に回転する。おがくずが屎尿と混じり合って水分を含みすぎるとよくないので、15年度に一回全量交換した。約900リットル、ドラム缶で4.5本分の処理ができた。
屎尿処理自体については特に支障はなかった。両方とも便層の温度は20度から30度ということで、雑菌の死滅まではいかなかった。臭いもなく、非常に有効であったと利用者には好評だった。
しかし、便層の中にごみが捨てられるとか、便座の上に足をかけてしまう利用者が多く、マナーも課題。汚れたまま放置していてはどんどん汚されてしまうので、今後とも計画的な清掃、あるいはボランティアさんの協力を得て、計画的に清掃を進める必要があるだろう。
(オ)美瑛富士避難小屋 美瑛山岳会 内藤 美佐雄 氏
昭和28年に当時の美瑛営林署が建てた小屋が崩壊したあと、予算も少なかったが美瑛町でプレハブ状の小屋を設置した。トイレの設置も検討したが、費用と浸透式は認められないと言う環境省の意見により、見送った。
それほど登山者数は多くないが、日帰り、宿泊、縦走など様々な利用がされており、ティッシュが周辺に散乱し、臭気もただよう。昨年山のトイレを考える会などの協力で回収した。地元も携帯トイレの携行を利用者にアピールしたいと思っており、ぜひ利用者にも声をあげていただきたい。
(カ)幌尻山荘 平取町山岳会 石森 充 氏
幌尻山荘は、昭和39年頃、国有林全盛の頃に建てられ、その後平取町山岳会が管理委託をしている。
やがて「百名山」の影響で登山者が増加し、トイレの数が足りなくなるなどし、工事用の仮設トイレ増やすなどした。一昨年からは夏に管理人をおいている。使用量の徴収や小屋内と小屋周辺がきれいになるなどの効果があった。
くみ取ったものを埋めているがなかなか分解がすすんでいない。また、携帯トイレについても検討したが、使用したものが捨てられるのではという懸念も多い。やはりトイレが欲しい。
5.ディスカッション
(コーディネーターにより、会場から一人ずつ、トイレの処理方式――「携帯トイレ」「バイオトイレ」「貯留式」、「浸透式」の利点と問題点を聞いた。)
「携帯トイレ」は汚さない、低コストだが隠れる場所がいる、使用後の処理、捨てられたらどうしよう、あとマナーの問題がある。「バイオトイレ」は維持管理はしやすいが、設置時にかなりお金がかかる。「貯留式トイレ」、管理は楽で処理もしやすいが、水が必要、ヘリで運ぶ維持費がかなりかかる。「浸透式トイレ」は数十年に1回のくみ取りでいいかもしれないが、環境への影響がある。などの意見が出された。
(次に、美瑛富士避難小屋において相応しい方式は何かについて挙手を求めた。)
「携帯トイレ」20名、「バイオトイレ」20名、「貯留式トイレ」12名、「浸透式トイレ」6名。
(内藤)宿泊者の8割が1泊登山で、小屋に行って美瑛富士、あるいは十勝岳まで縦走して下りてくる。縦走者には気の毒だが、1泊登山だったらできるのでは。
(司会)最後に時間がたりなくなったお詫びと、お礼。今日の会議の内容を会のこれからの活動に生かしていきたい。それと地元での検討に使ってもらいたい。
(以上)
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