第1回山のトイレを考えるフォーラムの記録(その3)


5)利尻山の取り組み

                                               利尻町立博物館 佐藤 雅彦

 5、6年前からひどい状態という話を聞いている。こういう問題に対しては2つ、①一般の方からできること、②行政とかお金のかかる取り組みがある。
 利尻島ではまずパークボランティアの運動から始まった。スライド上映会等を開き、水溶性ペーパーの使用や、日帰り登山、携帯トイレ使用のお願いをしてきた。昨年より行政が動き始めた。
 そのきっかけは3つ。1つは資金の面。携帯トイレを利尻町と利尻富士町は導入したが、その補助金を使うことができた。もう1つはパークボランティア、一般からの訴えと観光協会から景観と水質の問題の訴えがあったこと。もう1つは2つある登山口の町、利尻町と利尻富士町の両町が一緒になってやろうということが、携帯トイレの無料配布に貢献したと思われる。この3つがそろって今年から1万6千個の携帯トイレの無料配布をやることになった。
 利尻町は回収ボックスでの回収数を数えているので、シーズン終わりには使用した数が出てくる。効果についてはあったという人と、おみやげにして持って帰る人がいたりするので、ないという人がいる。意識としては向上しており、一番悪い時よりはひどくなっていないと個人的に思う。
 これからの課題は3つ。1つは携帯トイレの無料配布が今度継続できるかという補助金、資金の問題。もう1つは本当に無料配布がいいのかという点。自分が出した物は自分が処理するということを考えてもらうためにも、いくらかの費用を利用者が払うということがあってもいいのではないか。もう1つはオーバーユースの問題を解決しなくてはならないと思う。


6)日高山脈ファンクラブの取り組み

                                                  日高山脈ファンクラブ 高橋 健
 今年5月に発足。水質調査と登山者の意識調査を幌尻山荘周辺で行っている。日高では大雪・利尻に比べ、それほどトイレが問題とはなっていないが、今のうちに手を打っておかないと幌尻岳、カムエク等問題が出てくる可能性がある。水質調査・意識調査については今後も継続していく予定。この結果をふまえ、日高での必要な対策を行政に訴えていきたい。日高は稜線上に全く小屋がないところなので、大雪とは違った方法が必要ではないかと考える。
個人的には携帯トイレを日高においては進めていきたいと考える。


7)道央地区勤労者山岳連盟の取り組み

                                        道央地区勤労者山岳連盟自然保護委員 田中 昭人
 '85年から占冠村の赤岩青厳峡のクライミング開拓が始まる。当時からクライマーはやりたい放題で木を切ったりピトンを打ちっ放しにしたり、派手なスリングをぶら下げたり、全国から住所不定の人が集まったりして村の評判が悪かった。
 94年から労山が行っている清掃登山の日に周辺の清掃を行ったり、木を切ったことをあやまり、岩のピトンもできるだけ撤去するなど、村へ事情を説明してきた。それらを積み重ね、今年6月占冠村村長へトイレ設置の要望書を出した。その結果、9/1から10/31までの2ヶ月間、クライマー向けに循環式トイレの設置となる。
管理はクライマーでとのことだが、難しいと話しをしてきた。しかし、おためし期間ということで、2ヶ月たって評価をすると話された。道岳連やフリーで活動しているクライマーに呼びかけ、トイレの清掃をお願いしている。

(つづく)