山のトイレを考える会活動記録


第2回フォーラムを開催するにあたり、山のトイレを考える会の活動をまとめました
のでご報告します。

★詳細は第1回フォーラムの記録」「フォーラムアンケート結果」
「銀泉台での活動報告」「銀泉台でのアンケート結果を見てください。

1.山のトイレを考えるフォーラム

  平成12年8月29日(火)18時30分より
  札幌市教育文化会館
  参加者 156名

・全道各地の山岳地を抱える自治体、山岳会等の山岳団体、山岳ガイド、旅行会社、2月
 の接点ミーティングの参加者等に案内状を配布。

・全道各地より、予想を上回る人数が参加し、活発な意見交換が行われた。以下にその概
 要を記す。

・開会宣言と開会挨拶に続き、北海道の山のトイレの現状報告が行われた。

・黒岳、銀泉台での森林事務所での取り組みについて、穂積玲子さんの報告があり、微生
 物剤のSK菌と茶の実粉末脱臭剤を便槽などに散布している状況、トイレで使用済みの
 紙を回収しているとの説明があった。

・当会の代表の横須賀邦子より、大雪山の南沼、忠別岳などで放置された屎尿と紙 が散乱
 している状況について説明があり、ピーク時だけでも簡易トイレを設置できないかなど
 と具体的な提案が行われた。ガイドとして、携帯トイレの普及の困難さも話された。

・北海道大学大学院の愛甲哲也さんより、大雪山の野営地を対象に行った調査結果を中心
 に、トイレと踏み分け道の拡大について、道が年々増加し、裸地が拡大している様子が
 示された。本州における各種の取り組みについても報告し、管理者、研究者による現状
 の把握と情報提供の必要性、登山者の理解、管理者と登山者の連携の必要性を訴えた。

・各種携帯トイレの紹介も行った。吸収シートのもの、屎尿に粉末を振りかけるものなど
 が紹介され、使用済みの携帯トイレを持ち歩く際の方法についても具体的に説明した。

・その後、意見交換に先立ち、会場から道内での取り組み事例について、利尻山、日高、
 赤岩青巌峡での取り組みについて報告があった。利尻町立博物館の佐藤雅彦さんは、利
 尻山での現状と、今年から始まった携帯トイレの配布・回収について説明があり、資金、
 配布が無料な点、オーバーユースの問題の解決が今後の課題だと指摘した。

・日高山脈ファンクラブの高橋健さんは、幌尻山荘周辺で行っている水質調査と登山者の
 意識調査の様子、日高山脈におけるトイレの状況について説明があった。

・道央地区勤労者山岳連盟の自然保護委員である田中昭人さんからは、占冠村の赤岩青厳
 峡で、役場への働きかけによりクライマー向けに循環式トイレが設置されたことが報告
 された。

・上川支庁自然環境係の小林さんからは、今年より大雪山で始まった携帯トイレの持ち帰
 りに向けた意識調査について、報告があった。携帯トイレの下界での処理の問題、交通
 機関との調整、登山者の認知などが問題であり、トイレの設置についても技術的・資金
 面で困難が多く、トイレの必要性も含めて検討が必要だと話された。

・その後の意見交換では、様々な立場から多様な意見が交わされた。携帯トイレの使用後
 の処理、地元の業者と行政との連携、登山口へのトイレの設置、野営地等へのトイレの
 仮設、オーバーユースを判断する情報の不足、携帯トイレの改良など多くの問題点や課
 題が明らかとなった。

・最後に、道央地区勤労者山岳連盟理事長の山本裕之により、近年オーバーユースによる
 保護にも目を向けており、今日の意見等を参考に問題解決に取り組んでいきたいとの挨
 拶で閉会した。


2.山のトイレを考えるフォーラム会場アンケート

  2000年8月29日(火) 有効回収数110部

・フォーラムの参加者に対して、山岳地におけるインパクトの認識、山中で用を足す場所、
 用便後の処置、山のトイレの今後のあり方などについて質問し、山のトイレ問題に対す
 る意見、フォーラムの感想、山のトイレを考える会の活動への意見を伺った。

・山岳地のインパクトの中では、トイレの汚さと放置された糞尿に対する認識が最も高く、
 対策の必要性が強く感じられていた。用を足す場所としては、登山口が多く、小便はそ
 のまま、大便は土や葉をかぶせるとした意見が多かった。今後のトイレのあり方につい
 ては、登山者による費用負担に同意する意見が多く、トイレの無い場所での持ち帰りを
 半数以上が必要と考えていた。

・山のトイレ問題に関しては、登山口などへのトイレの設置や携帯トイレの普及に加え、
 登山者のモラルの向上や、行政との連携の必要性など幅広い意見が寄せられた。

・フォーラムに対しては、現状の理解が深められた、認識を深めた等の意見が多く、継続
 することを求める声も多かった。

・会の活動に対しては、地方でのフォーラムの開催、ネットワークづくり、情報の収集、
 実践的行動を求める意見が多く、今後の活動の展開へのエールが多く寄せられた。


3.銀泉台におけるちらしの配布とアンケート調査

  2000年9月23日(土) 大雪山国立公園銀泉台

・フォーラム後のミーティングで、一般の登山者への呼びかけが必要だとの意見が多く出さ
 れ、実際に登山者が集中する登山口においてちらしの配布とアンケート調査を行うことに
 なった。

・横須賀代表をはじめ10数名が参加し、天候にも恵まれて、紅葉を目的に訪れた登山者およ
 び観光客にちらしを配布し、下山した利用者に山のトイレ問題に関するアンケート調査を
 行った。ちらしは約300枚程度配布し、アンケートは298人から回答を得た。

・同時に、日高山脈館や層雲峡ビジターセンターにも、会員の手によりちらしがおかれた。

・アンケートの質問は、先述したフォーラムのアンケートと同様であるため、以下にフォー
 ラムの参加者との比較による概要を説明する。

・用を足した後の処理については、両者とも小便はそのままが多いが、紙の持ち帰りや大便
 の携帯トイレの使用は、フォーラムの参加者がやや多く、一般の登山者にはまだその方法
 が広まっていないと考えられる。

・今後のトイレのあり方について、フォーラムの参加者で経費負担への同意が多く、登山規
 制、紙持ち帰り、携帯トイレの使用への同意が多かった。それに対して、一般の登山者は
 トイレの新設をより多く求めていた。問題の認識の違いが、今後のあり方の考えにも違い
 としてあらわれたといえる。

・以上より、当会ではより一般の登山者への啓蒙が必要なこと、さらに議論を深める必要が
 あることを認識し、来年2月上旬に2回目の山のトイレを考えるフォーラムの開催を企画
 している。

※NEXTボタンをクリックするとフォーラムと銀泉台の
 アンケート比較です。