1.開会挨拶・司会 愛甲哲也
2.代表挨拶 岩村和彦
山に登り始めて40年。みんなが休憩する場所に紙が散乱しているのを見ていつも何とかならないかと思っていた。
2000年に前代表横須賀さんの山のトイレ問題の講演があり参加、講演の後で横須賀さんや有志が集まり当会の
発足となった。
山のトイレを考える会は無い方がよいが、残念ながら14年も活動していながら、いまだに紙が散乱しているのが
目に入る。十数年前と比べると登山者のマナーもよくなったし、ゴミを捨てる人が殆どいなくなった。ただ、トイレ
ットペーパーは融けて無くなると認識している人もいるのか散乱している。実際、自然環境の厳しい山ではすぐに
融けて無くならない。是非、紙の持ち帰りだけは徹底して周知したい。
携帯トイレについても北海道の山の状況から考えると選択肢から外せないツールと思っている。北海道の山は本州
と違って山小屋もトイレも少ない。トイレがあったとしても無人で維持管理が大変である。
今日は全道から実際に山のトイレの維持管理に苦労されている方のお話を伺いしながら、みんなで一緒に考え、山
のトイレ問題の解決に向けて有意義なフォーラムとなるようお願いしたい。
3.2012活動報告 仲俣善雄
内容は第14回フォーラム資料集2~4ページを参照
4.活動報告(発表)とディスカッション
コーディネーター:愛甲哲也
《報告者一覧》
■山小屋管理の20年間を振り返って …元銀嶺荘管理人:竹本勝
■空沼万計山荘トイレの維持管理 …万計山荘友の会:小笠原実孝
■夕張岳ヒュッテとトイレの維持管理 …ユウパリコザクラの会:河村健
■黒岳トイレ運用状況及び今後の改善について …上川総合振興局:端場強実
■大雪山国立公園の避難小屋とその概要(黒岳石室を中心にして)
…(有)風の便り工房:佐藤文彦
■十勝岳連峰周辺の整備状況やトイレに関する状況 …美瑛山岳会:内藤美佐雄
(内藤さん欠席のため代理報告:愛甲哲也)
■登山道保全技術講習会に参加して …山のトイレを考える会:黒澤大助
■利尻山の山岳環境改善の取組み …利尻富士町:吉田敏光
■羅臼岳・知床連山における携帯トイレの普及活動(トイレチェック結果から)
…(有)自然環境コンサルタント:山口和男
■アポイ岳のトイレのこと …アポイ岳ファンクラブ:車田利夫
【報告要旨】
1.山小屋管理の20年間を振り返って…元銀嶺荘管理人:竹本勝
春香山「銀嶺荘」は東海大学が所有。最初にHTB制作の竹本さんを撮ったドキュメントビデオ(約15分)
を見る。真剣に生き、生きがいを持って管理人をしている様子がよく分かった。7年前63歳で退職。
・小屋の中でも特にトイレは舐めるほどいつも綺麗になるよう清掃に心がけた。
・私が管理人を始める前は2年間管理人不在。その前はトイレの屎尿は札幌市が汲み取りしていたが、その後
はしてくれなかったので、東海大学がバキュームカーを頼んだ。業者は汲み取り後に便槽の中を2~3人入
ってブラシで磨き、消毒液と芳香剤を入れて完了。仕事が大変丁寧だった。
・小屋の運営は薪代など大変な費用がかかる。トイレ清掃は4年に1回、80万円。
・万計山荘は札幌市が汲み取りをしていると労山の方から聞き、交渉した結果1年間に1回、12000円で汲み
取りしてくれるようになった。
・退職してから年間270回ほど藻岩山に北の沢コースから登る。秋に必ずと言っていいほど糞便やティッシュ
が酷い所がある。いつも回収してくるが、毎年繰り返される。
・植樹のボランティアで毎年、礼文島に行き、礼文岳や利尻山に登ってくる。沓形のセコマで携帯トイレが販
売されていなくて困ったことがあった。7合目の避難小屋に携帯トイレブースがあり、中を覗くとハエが
いっぱい。便座の下に便が残地されており回収してきたことがあった。
2.空沼万計山荘トイレの維持管理について…万計山荘友の会副代表:小笠原実孝
・万計山荘は林野庁の建物。築40年が経ち崩壊寸前となり万計山荘友の会(会員約100名)が維持管理を
受託(金銭授受なし)募金900万円集め修繕した。
・さらに募金200万円を集め、トイレを強化プラスチック便槽4基に取り換えた。それまでは雨で便槽から
万計沼に屎尿が流れ込み大腸菌で酷かったが、今は無くなった。
・貯留式トイレとなっても最初は黒バエで床が見えなくなるほど。臭いも酷かった。空気の流れがよくなる様
に改造した。特に排気筒を長くした所、筒が太陽で温められ、上昇気流が発生、臭いも少なくなり黒バエも
居なくなった。さらにEM菌を入れると臭いが無くなり快適なトイレとなった。
・トイレは綺麗になるよういつも清掃に心掛けている。
・3年ほど前に札幌市の小型バキュームカーが廃車となり、万計山荘は汲み取りに行けないと通告された。清
掃組合と交渉したがNG。翌年要望がかない札幌市が2トン車を改造して作るとの連絡。ただ林道は悪路で
危険との心配があったので、森林管理署に掛け合った。予算が無いと断られたが再三交渉し整備して貰った。
・最近山ガールが増えた。トイレ1室を女性専用とすることを検討している。床は大理石風、壁は新緑の白樺
林風の明るい感じのイメージを考えている。
3.夕張岳ヒュッテとトイレの維持管理…ユウパリコザクラの会:河村健
・昨年のフォーラムで夕張岳ヒュッテのトイレについて話した。課題として便槽1個増設と手造り便器の改良
があったが昨年実施できた。便槽は強化プラスチック製で2個、小便の方はドラムカンに貯留している。
・夕張岳ヒュッテが老朽化したので現在、その横に新ヒュッテをユウパリコザクラの会で建築中。一昨年に基
礎を業者に発注。建物の材料は廃校となった小学校の廃材を無償で貰い、日当無しのボランティアで施工し
ている。昨年10月トタン屋根葺きが完了し冬を迎えた。今年、内装工事をして8月に完成予定。
・3年前から募金活動を実施している。860件、640万円集まった。完成後に一度会計を整理してオープン
にしたい。募金は継続中でご協力をお願いしたい。
・ユウパリコザクラの会が山と渓谷社の第3回日本山岳遺産に認定され、助成金をいただいた。
(全国で3団体。北海道では初受賞)
4.黒岳トイレ運用状況及び今後の改善について…上川総合振興局:端場強実
・使用開始は平成15年9月19日。実質9シーズン供用。使用期間は6月中~10月上の約100日。
利用者数は約10,000人。昨年の最多利用者数は7月15日で616人。協力金は約117万円。
・昨年のオガクズ交換は5回。4,330kg。1回6人~14人で作業。上川町役場、観光協会、振興局等の
担当者で実施。10月4日にヘリで下界に搬出。
・トイレは4ブース。入口近く右のAブースの利用数が一番多い。Bブースは男子小便器を外してあるので
一番利用数が少ない。
・㈲自然コンサルトさんの協力でBブースの便槽に温度センサーをセットして測定。数日温度は上がったが、
オガクズが働く温度をすぐ下回り能力が発揮されていなかった。
・電気系統ではソーラー系統に異常があり、バッテリーに充電できない状況だった。
・維持管理費用に対する協力金の充当割合は平成23年度48%、平成24年度68%だった。平成23年
度はバッテリー交換で維持管理費用が多くかかった。
・改善案について整理して検討した(資料集52~53ページ参照)。オガクズ作業の負担軽減、安定的維持
管理体制の構築、協力金徴収率の向上等、関係機関と協力して状況改善に向け取り組みたい。
5.大雪山国立公園の避難小屋とトイレ…(有)風の便り工房:佐藤文彦
・黒岳石室と旭岳石室は大正12年(1923年)に北海道山岳会が結成された時に黒岳-旭岳-天人峡間の
登山道開削に併せて建設された。同年、大雪山登山会が開催され47名の参加者があった。全員石室に宿泊。
管理人(小屋番)も居た。トイレの事は調べたが記述されたものは見つからなかった。黒岳石室は大正15年
~昭和2年(2シーズン)の宿泊者数は約3000人との記録がある。
・黒岳の登山者数はピーク時年間5~6万人。平成22~24年は2万人を割った。
・現在のバイオトイレの前のトイレは43年間利用した。あまりにも酷いトイレに登山者から新聞に苦情投稿が
あり、超党派の道議会議員で懇話会が結成され、現地視察も行われた。これらを経てバイオトイレの導入が
決まった。
・黒岳バイオトイレの改善に向けた検討はほぼ出尽くしたと思う。このトイレを作った時のような検討委員会
を立ち上げ、幅広く意見を聞き議論の場を作るべきでないか。
・旧黒岳トイレでEM菌を使ったことがある。異臭は少なくなり、便槽内の屎尿の量も減少した記憶がある。
このEM菌を他の避難小屋で実験してみてはどうだろうか。
・大雪国立公園の避難小屋や付帯トイレはかなり老朽化してきた(避難小屋の歴史と現状は資料集59~60
ページ参照)
6.十勝岳連峰周辺の整備状況やトイレに関する状況…美瑛山岳会:内藤美佐雄
(内藤さんフォーラム欠席のため、愛甲が資料に基づき代理で説明)
・望岳台の公衆トイレがかなり老朽化している。
・十勝岳避難小屋…冬期間、望岳台までの除雪が行われなくなったので、融雪後の糞便は殆ど見られなくなった。
・美瑛富士避難小屋…昨年はオプタテシケ山の標高年で登山者が増加した。一昨年は夏から秋にかけ天候不順で
小屋近くに糞便が目立った。小屋の中には登山者が置いていったゴミが散乱しており回収してきた。
・内藤さんからの提案:国立公園・国有林関係機関や北海道、地元自治体の他に、山岳会やNPO,パークボラ
ンティアなどの団体が登山道や施設の維持管理に当たっているが、多くの箇所が手を付けられないままになっ
ている。
都市部の山岳会員や登山愛好者の皆さんの協力が得られれば、迅速な整備や山岳会などの労力負担の軽減化が
図られると考えている。資材調達や作業のコーディネートは地元で行い、荷揚げや軽微な補修を実際に体験し
てもらうということができないだろうか。作業に参加された皆さんには、山岳環境の保全に貢献できたという
達成感も味わっていただけると考えている。
7.登山道維持管理技術講習会に参加して…山のトイレを考える会:黒澤大助
・旭岳の裾合平で開催された岡崎哲三さん講師の技術講習会に参加した(環境省主催)
・登山道維持がこんなに大変とは知らなかった。トイレのティッシュや排泄物は落ちていたら拾うことは出来る
が、大きな石の移動、丸太の運搬、そして施工と登山道の補修整備は個人レベルではできない。
・近自然工法は登山道は川であるという考え方。いかにして水の流れを分散させて登山道をえぐられないように
するか施工。
・山岳整備に取り組んでいる人とお会いでき、顔が見えて話ができ、非常によかった。勉強させてもらった。
・労山道央地区連盟として登山道の整備とか山小屋の管理を殆どやっていない。トイレ問題だけでなく、登山道
整備の重要さを北海道山岳6団体交流会等を通じてセミナーなどで伝えていきたい。
8.利尻山携帯トイレ取組み状況…利尻富士町:吉田敏光
・平成24年の入山者数は7429人。僅かだが近年増えつつある。
・携帯トイレは一袋400円で、宿泊施設、商店、コンビニ、観光案内所等で販売。
・島内での携帯トイレ販売数は近年減少している。持参してくる人が多くなったと思われる。だた、登山者数に
対する回収率が平成20年は35%、平成24年は17%と減少している。観察からは殆どの登山者が携帯
トイレを持参、利用しているように見えたが理由が分からず、今後聞き取り調査等で実態把握をしたい。
・携帯トイレブースは鴛泊コースに4基、沓形コースに2基(全て木製)。回収ボックスは両登山口に設置し、
携帯トイレを定期的に回収処分している。
・今年の山のトイレデーは12名参加。清掃活動のほか、ティッシュや投棄された携帯トイレの回収をした。
ティッシュ痕と投棄された携帯トイレは68カ所で確認。GPSで位置も記録した。低い標高でのティッシュ
痕が顕著であることから、低地での携帯トイレブースの設置が課題となった。
・携帯トイレの先進地として知られた利尻山だが、回収率の低下や普及活動の継続性等問題を抱えている。
顧客への一斉周知ができたツアー登山の減少、携帯トイレ情報に出会わずに登山にくる人が増えるなど利用
形態や利用者層の変化がある。新たな登山者の傾向に合せた普及活動が必要と考えている。
・登山道の荒廃も課題。火山性の地質であり指で触れただけで崩れ脆い。平成17年から登山道補修を試行錯誤
しながら実施、ノウハウが積み重ねられた。近年、木柵土留め等でリシリヒナゲシの実生が確認される朗報も
あった。
・平成24年5月に山岳地管理専門業者が利尻島で誕生した。それまで登山道整備や携帯トイレブース等維持管
理等の業務を協議会が実施してきたが、高齢化も進み作業に関わる人材の確保に苦労してきた。専門業者の誕生
は問題解決の一助となるのではないかと期待している。
・一昨年、鴛泊コースの入口にある北麓野営場の再整備をした。テントサイト、バンガロー5棟、オートサイト
3台分、管理棟(シャワー3基、トイレ、事務所、休憩スペース)、東屋、炊事棟、自転車・オートバイ駐輪場、
外来種対策等充実させた。
9.知床・羅臼連山における携帯トイレの普及活動…(有)自然環境コンサルタント:山口和男
・知床・羅臼連山は2008年から携帯トイレの普及活動に取り組んでいる。
・2008年~2012年。アクティブレンジャーが中心となって、残地物(ティッシュ、排泄物、投棄された
携帯トイレ)を5箇所の調査ポイントでチェックしデータを取った(回収も実施)。1調査員当の残地物個数
の年度推移を見ると徐々に減っている(2008年:29.1ケ。2012年:9.9ケ)。ただ正確な理由は
分からない。
・携帯トイレ普及活動を知っていた人は6割程度。携帯トイレ持参率は3~4割。山中で用を足す人は全体の
3割で毎年、あまり変化はない。
・2012年、ウトロ地区のコンビニで携帯トイレの販売を開始。2013年は木造式固定携帯トイレブースを
銀冷水で2基設置予定。
・羅臼岳の登山者の7割が1回目の登山。これらの登山者にどのようにして携帯トイレを持参し使って貰うかが
課題。山岳ガイドの滝澤さんのお話では知床のガイド登山では殆どが携帯トイレを使っているとのことだった。
10.アポイ岳トイレ問題について…アポイ岳ファンクラブ:車田利夫
・アポイ岳の標高は810m。日帰りバスツアーも多い。往復で約5時間。幌満コースは閉鎖中。山中泊は禁止。
年間登山者数はピーク時14000人、近年は7000人。5~6月が花のピークで登山者は年間の2/3を
占める。1日の最高は400人。
・登山口には立派な水洗トイレがある。
・昭和30年代に林務署が職員用に設置したトイレが5合目の山小屋の傍にあったが、道民から不衛生との苦情
があり平成4年に撤去された。その後、登山者数がピークを迎え、ティッシュの花や臭い、排泄による環境悪
化が無視できないと感じていた。同時期、ヒダカソウの大規模盗掘を機にアポイ岳ファンクラブが設立された。
・バイオトイレの導入も検討したが、電源確保が難しいこと、資金や管理上の課題から携帯トイレの導入を検討
している。
・アポイ岳におけるトイレのあり方を検討するため、登山者の排泄実態を把握するアンケート調査を実施した
(詳細は資料集参照)。アンケート分析の結果「10人の登山者がいれば、5人は必要性を感じず用を足さない
が、残りの2人が実際に用を足し、3人が我慢している」ことが分かった。用を足した2人、つまり20%の
内訳は小便のみ92%、大便のみ3%、両方5%だった。
・もし5合目避難小屋付近にトイレがあった場合、我慢している人も利用すると思われ、5割の登山者がトイレ
を利用すると推測される。1年間に排泄される量を推定すると、小便で1425㍑、大便で34kgとなった。
・携帯トイレについてもアンケート調査実施。9割が知っている。使用したことがある人は17%。今日持参し
ている人は3/4。今日使った人は17%との結果だった。
・今年、簡易ブースを設置して試験実施する予定。
・知っているけど持っていない、持っているけど使わない人にどうやって使ってもらうかが課題。押し付けだけ
だと難しい。一緒に考えてもらう納得のいく説明を時道にしていく必要がある。
・入手の機会を増やす。ブースは5合目がいいと思っている。ブースの横に電気を使わない携帯トイレ自動販売
機を置いたらどうかなど、これから検討していきたい。
【質疑応答】
(山口:㈲自然環境コンサルタント)
ガイド付き登山者は余裕がなくアンケートになかなか応えてくれないのが現実。ガイド付き登山者への携帯トイレ
利用はガイドさんにお願いするのが効果的。未組織の一般登山者への啓発活動と二本立てにした方がよいとの思う。
(愛甲:コーディネーター)
利尻は最初大変だった。周知に時間と手間をかけた。本州のアウトドアショップや雑誌に広告や情報を載せていた
いたり広報に力を入れた。ガイドの協力は絶対必要。
(愛甲:コーディネーター)
美瑛の内藤さんの方から登山道整備に札幌の方も手伝って欲しいと言う意見があった。そうは言っても、なかなか
難しいですね。多分大事なのは仕組みだと思う。万計山荘みたいに友の会があって、やる人達が集まって、場所も
近く、参加もし易いと言う仕組みがないと、ボランティアで手伝いをしてもいいと思っている人が集まってこない。
河村さんどうですか。盗掘防止や鹿から高山植物を守ることなど大変熱心に活動しているユウパリコザクラの会の
経験として、うまく人を集めたり、特に若い人に手伝ってもらったりする時にどのような工夫をすると良いか
アドバイスありませんか。
(河村:ユウパリッコザクラの会)
先頭になってやる人がはっちゃきなって(身を粉にして)やっているから、それに心が打たれて集まってくる
ような気がします。
(岩村:山のトイレを考える会)
アポイ岳は初級者が登れる山で年間7000人と結構多い。私は携帯トイレがよいと思うが、登山の導入に位置する
山で利用を奨めると、北海道の山全体に広める意味ですごい取組みになるし、是非、浸透させて欲しい。
(岩村:山のトイレを考える会)
美瑛の内藤さんの件ですが、私も一昨年のトイレデーで登山道整備用丸太の資材運搬を手伝った。仕組みさえうまく
やれば、一人がちょっとした資材を持つのであれば大した労力ではない。
ホームページ等のインターネットをうまく使えないかと思う。例えば、登山届は道警のホームページを使って送って
いるが、道警に登山道整備情報を伝えておけば「○○の山で山岳会が資材運搬の協力を求めています」とかを仲介
してもらうとか、要するに仕組みさえ作れば"ちょっとした作業だったらいいよ"と言う人がかなリいると思います。
(愛甲:コーディネーター)
仕組みがうまく作れるかどうかだと思います。美瑛富士だけでなく、忠別やヒサゴの避難小屋でも老朽化が進んで
いるし、北海道ではなかなか管理が難しい。ほっておくと事態はだんだん悪化するばかりで我々登山者は手を
こまねいていていいのかと思う。一方、もともと国立公園なので国できちんと管理すべきとの意見がある。
人口が減って税収が減っていく中で国が何にでもお金を出せる状況ではない時代に登山者が何を協力できるかを
キチント考える必要があり、行動を起こせる仕組みが重要と思う。
(黒澤:山のトイレを考える会)
昨年のトイレデーは美瑛富士に行った時に一緒に活動した北海道地方環境事務所長と話す機会があった。所長は
美瑛富士で携帯トイレを成功させるには、地元住民の理解がないと絶対失敗しますよと熱心に言われたが、私も
同意見。ボランティアに関して感じるのは、一生懸命にやっているんだと言うのをどんどん広めていけばよいと
思う。私も最初は幌尻山荘で人のウンコを担げるのかなと思っていたけど、現場に行って山岳会の人とか地元の
人達が一生懸命苦労してやっている姿を見れば、やっぱり何かお手伝いしょうかなと言うことになると思う。
黒岳のオガクズ交換作業を3回体験させてもらった。現場の人達はもの凄く汚い作業を一生懸命にやっている。
本当にこれだけは何とか早く解決して欲しいと願っている。
(愛甲:コーディネーター)
「山はみんなの宝憲章」は、国の事業仕分けで民間の山小屋のトイレ整備に補助金を出していた事業が一旦廃止
されたのを契機にできた。山に登らない人から見るとそんなものに税金を出していいのか問われた例ですが、逆に
それに対して山に登っている人はどうすればいいんだろう、と言うんで憲章となった。自己責任は勿論ですし、
我々が登ってその施設を使っているわけですから、その負担とか責任とかあるだろうと言う考えで具体的にどう
行動するかとの話になる。
(愛甲:コーディネーター)
私はアポイ岳での携帯トイレ導入はハードルが高いと感じている。よっぽど入念に準備してうまくやらないと
アポイに来るような登山者に携帯トイレを使ってもらうのはハードルが高いと感じている。みんなでアイデアを
出して具体的にどうやったらいいか是非我々もお手伝いをさせていただきたいと考えている。
(以 上)
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